イギリス生活

アラフォーが、海外(イギリス)で不妊治療を受ける話

まず、私のイギリスでの不妊治療の流れと内容について簡単にご説明します。

  1. GPで不妊クリニックの紹介状を貰う
  2. プライベートのクリニックで不妊の原因を調査(日本で言う基本検査)

ここまでは前回のブログ記事でご紹介しました。

いつか子供が欲しいと思っている30代に読んで貰いたい!アラフォーの妊活について これから妊活をしようと考えている方へ 私は医者でも専門家でもないので、あくまでも個人の体験談として前置きをした上で、周りに話を聞く人が...

今回は、こちらの内容をご紹介したいと思います。

  • 基本検査の結果と紹介状を貰って、プライベートの不妊治療クリニックで治療開始

  • 排卵誘発自己注射(アンタゴニスト法)を使って採卵

  • ICSI(顕微授精)をする

  • 着床前検査(PGT-A)をする

不妊治療クリニックを見つける

前回、基本検査でお世話になったプライベートの病院(産婦人科)の診察は終わり、今回はそちらからの紹介状を持って不妊治療クリニックに行きました。

保険が適用になるクリニックは2つしかなかったので、その2つをHFEA(英ヒト受精・胚機構)のサイトで不妊治療の結果や口コミなどを見て決めました。

最初のコンサルテーションは、オンラインで最初のお医者さんからのレポート兼紹介状を見て内容を確認しただけでおしまい。

全く進展が無くて心配ではありましたが、翌日にもう一度超音波検査と血液検査、2日後に精子検査の予約、翌週にその結果をもって今後について話し合う2回目のコンサルテーションの予約が入りました。

夫の精子検査は、NHSでやった検査(これも予約を取って、検査して結果が来るまで数ヶ月はかかりました)は詳しい情報がレポートでもらえなかったので、結局やり直しが必要と言われました。
夫の検査は、私の保険ではカバーされないので、当日支払い(190ポンド)でした。

2度目のコンサルテーション

超音波検査、血液検査と精子検査の結果を持って、顕微授精(ICSI)と着床前検査(PGT-A)の説明を受けて、するかどうか決めるように言われました。

色々調べてみると、日本では不妊治療の最終手段として着床前検査も条件を満たしていないと受けることが出来ないそうなので、やれるものならお願いしよう!と両方ともやる事にしました。

この後は、コンサルテーションなしでナースから薬と注射の接種の説明を受けて、各施術について理解しているか許可をするか文章を読んで署名したりという作業が続きました。

採卵の準備期間

まず「女性の体が妊娠しやすい様に子宮内の環境を整え、人為的に排卵後の状態を作り出す」ためにノルエチステロン(黄体ホルモン)を10日間服用します。ノルエチステロンを飲むのを止めて2−3日後に、生理が来ます。
*サイクルで仲良しをした場合、ノルエチステロンを飲む前に妊娠検査薬をして、妊娠していないのを確認してから薬を飲み始めないといけないそう。

ノルエチステロンを飲み終えてから、5日後にFSH(排卵誘発)の自己注射の開始しました。2種類の注射をお医者さんに止められるまで、毎日太ももか腹部に自分で注射を打ちます(涙)

排卵誘発注射の内容は、オーバーリープ225/メノピュール75、3種類目はフィレアデル。トリガー注射はオビドレル250mg。

飲み薬と注射は、全部専用のデリバリーで自宅にまとめて届けられました。
注射の打ち方や、薬剤の混ぜ方や準備の仕方は、動画やサイトのリンクが送られてきただけだったので、かなり不安で日本語のサイトなども色々調べました。

一番大きい卵胞が14-16mmになったらアンタゴニスト注射を併用して排卵を抑えながら複数の卵胞を育てるそうなのですが、注射を開始して5日目から3種類目の注射を追加しました。

5日目に1回目の超音波スキャンをして、オーバーリープの容量を300にアップすることになりました。そこで、B型肝炎 C型肝炎、HIVの結果を提出する様に言われたのですが、提出出来るようなレポートも特に持っていなかったので、更に追加の血液検査。夫も必要でした(これは実費で300ポンドくらい)

2回目のスキャンは、7日目。

3回目のスキャンは、10日目。

卵胞のが18-25mmになったらHCGトリガー注射(LHサージ誘起)をして34-36時間後に採卵なのですが、もう2日様子を見ましょうと2日後に再度スキャンをすることに…。
つまり注射も2日延長(涙)手持ちの薬を上手く調整して残らないようにとオーバーリープを150に、メノピュール225に変更。

最後4回目のスキャンで、2日後に採卵をしましょうと言われました。朝早く起きて、注射を3本打って、メイクをして朝のスキャンに行ってから会社に行くのは結構大変でしたが、それもようやくおしまい。

その日の夜(時間を指定されます)にトリガー注射を打ち、その翌日は注射も制限もなし(24時を過ぎたら次の日の手術が終わるまで食事禁止)。

自己注射の種類と副作用

フェイレアデルは皮下注射だったので、打つ角度に気を付けるのと打った後の違和感に慣れるのに数日かかりました。
メノピュールは、注射を刺してから打つのが痛くて、一番嫌な注射でした。
オーバーリープは、一番打ちやすくて痛みも少なかったです。ただ、針が細いので、ちゃんと刺した方向に抜かないと血管を傷つけて出血する事が何度かありました。
トリガー注射は、オーバーリープみたいな感じで、特に痛みも副作用もありませんでした。

幸い、私には生活に支障の出るような副作用はなく、ホルモンの関係かニキビが増えただけでした。兎に角、最初で最後の自己注射だと自分に言い聞かせて頑張りましたが、お腹は青あざだらけだし、凄く辛い期間でした(涙)

採卵日当日

採卵日は、朝ご飯なし。(9時からの採卵で、水分は7時以降禁止でした)

メイク、香水、デオドラントなどは一切しないようにと言われたので、逆に準備時間が少なくて助かりました。家を出る前に、座薬の痛み止めを使ってくるように言われました。

クリニックに着いてからは、よくドラマで見る「表だけカバーされて、後ろ姿がびんぼっちゃまくん」みたいな手術用の服に着替えて、入れ替わり立ち替わりドクターやナースが来て手術の流れなど説明などを受けました。

「全身麻酔をかけても、人の声が聞こえたり人に触られているのは感じるかもしれません」と言われました。
でも、手術部屋に通されて「麻酔に繋ぎますね」と言われてから、手術をする前にいた部屋で目を覚ますまで記憶はありませんでした。夫曰く、20分くらい寝ていたらしい。

正直、全身麻酔用に手の甲に刺されたぶっとい針が痛過ぎて、あとは痛みを感じませんでした(笑)

あと、手術室に入った途端に8人くらいの女性たちに囲まれて「体調はどうー?」「心配しなくて大丈夫よー」と声を掛けられて、チームの温かい雰囲気に包まれて安心して気が遠くなっていった気がしました。
妊活を始めて、今まで検査や、先生や看護師の人たちと1対1でのやり取り、注射を打ったり孤独な作業でしたが、初めて人の温かさを感じた瞬間でした。

目が覚めた後は、温かい紅茶(砂糖入り)とビスケットを持って来てくれて、自分で持ってきたグミを食べたりしている間に先生が来て「卵は、5個採れましたよ」と教えてくれました。

この後、顕微授精をする説明があって解散。
採卵日は、仕事も1日休んで安静にと言われていたので、家に帰ってのんびりしました。

「翌日は、生理痛みたいな痛みがあるかもしれないけど仕事は普通通りに出来る」と言われていましたが、幸い週末だったので2日間のんびり出来ました。

確かに、下腹部にちょっと鈍い痛みがあったのでイブプロフェンを飲みましたが、耐えられないほどの痛みはありませんでした。(個人的には、生理痛と比べると軽かったです)

顕微授精について

採卵の翌日に病院から電話があって「5個の卵の内、4個が顕微授精に成功しました」との事。後は、4日後にまた初期胚が育つか様子を見て連絡をくれると言われました。

4日後の電話で「とりあえず4つとも育ち続けているので、様子を見て明日着床前検査に回すか、もう1日様子を見るか決めます」と連絡がありました。

この時点で、妊活としてお医者さんに診てもらおうと思い立ってから1年が経ちました。

翌日、2個は着床前検査を開始し、残りの2個はもう少し育つのを待った方が良いという事で引き続き観察。翌日に1個、そして更にその翌日に追加で1個、4個の全てが着床前検査に送られることになりました!あとは、2週間半程度かかる結果を待ちます。

採卵から着床前診断の結果が出るまでは、薬も完全になしの1ヶ月です。

着床前検査の結果

採卵出来た卵5個のうち成熟卵が4個、正常受精(ICSI)が4個(うち1個は少し遅め)、胚盤胞になったのは4個、その4個をPGT-A検査(着床前胚染色体異数性検査)に出して胚凍結。

着床前検査は、4個中2個が正常だったので胚盤胞移植に使えるという結果になりました。

そして、診断結果が出た1週間後に、結果を踏まえて次のステップ「胚盤胞移植」のコンサルテーションがありました。

5個取れて、移植に使えるのは2個だけ。チャンスは2回かぁ…と思っていましたが、先生からは「兄妹が出来るね!」と言われて、ポジティブ〜!と思いつつ、先生が施術に自信があるのだと思う事にしました(笑)

実は、採卵を終えて少し経ったくらいのタイミングで、自分の考え方も少し変わって来ました。

Lara
Lara
高度生殖医療を受ける事が出来て、優秀な先生や看護師の人にサポートしてもらえて、あとは胚移植までも自分で出来る限りの事をやれば、結果はどうであれ、やれる事はやったと思えれば良いかな。

採卵までを終えて

ネットで調べていると、アラフォーで採卵を10回以上されている方もいらして、どうやってこんなに大変な行程を10回も耐えられるの!?と思ってしまいました。
日本では、会社でこっそり自己注射をしたり、採卵の後も午後から仕事をしている人もいるみたい(その場合、全身麻酔は無し)で先輩方、凄過ぎ…。

妊娠した時は、お医者さんの診断も数えるくらいしかなくて、産んだ後も入院せずに即退院のイギリスがスパルタだと思っていましたが、不妊治療は日本の方が大変なことも多そうです…。

不妊治療のお金事情

今回、私は「自分の勤めている会社の加入している保険」が適用になる不妊治療クリニックにて治療を受けています。

不妊治療は保険でカバーされない事が多いのですが「会社が入っていた保険」が不妊治療の原因究明はカバーされるというので、その保険で最初の病院で基本検査を受けました。

その後、勤め先が加入保険会社を変更したのですが、たまたまその保険のポリシーで不妊治療も最大15,000ポンド(約240万円)までカバーしてくれる事になったのです!
と言うわけで、本当に有難いことに今のところ最小限の出費で抑えられています。(保険会社の人にも、採卵と胚盤胞移植の1サイクルはカバー出来るだろうと言われました)

実は、夫の会社も、私の会社と同じ保険会社に加入しています。しかし、そちらは最小限のプランで不妊治療はカバーされません。ですので、もし旦那さんの保険が不妊治療をカバーしてくれる場合、少しお金を払ってでも奥さんの分も保険加入してもらった方が絶対良いと思います。(費用が掛かってくるのは薬を飲んだり、スキャンをしたりする女性側なので)

あと、保険のポリシーって凄く分かりづらく書いてあったりするので、保険会社に直接聞くのが一番早いです。(必ず、担当部署に繋いでもらってください。総合受付では「調べて折り返します」と言われて十中八九掛かってこないので!←イギリスあるある)
不妊治療はダメでも、不妊原因究明(基本検査)はカバーされるなどもあるので、まずチェックしてみてください。

不妊治療クリニックに保険会社から支払った額は、こちらです↓(途中経過)

コンサルテーション 320ポンド

採卵と凍結、胚移植のパッケージ 5,820ポンド

顕微授精 1,004ポンド

着床前検査(8個まで) 2,250ポンド

胚盤凍結 1,000ポンド

ホルモン補充周期法(胚盤移植)薬代? 40ポンド

と言う訳で、次回はとうとう最終ステージ「胚盤胞移植」から無事に着床するのか…?をご紹介したいと思います。

様々な妊活ブログなどを読みましたが、移植まででエントリーが止まっているブログを見る度に「赤ちゃんが出来て、ブログを更新している暇もないのであればいいな…」と願うばかりです。

Lara
Lara
長くなりましたが、ここまで読んでくださり有難うございます。不妊治療を受けていらっしゃる皆さん、一人じゃありませんよ!一緒に頑張りましょう!